ついに開花! 𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 エリオシケ・エスメラルダナの実生
久しぶりのブログ更新&以前、種から育てていたサボテンが開花したので、それについて投稿します。
取りあげるサボテンは、𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 エリオシケ・エスメラルダナという南米に産する小型のサボテンです。
トゲはごく短く、ボディは黒味を帯びた紫色から茶色になり、小さなイボを持つ特徴的な姿は、一般的なサボテンのイメージとはやや異なり、人気の種類です。
下記の、本種についての前回の記事の続編として書きます。
種子から育てて開花まで4~5年かかった
𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 エリオシケ・エスメラルダナは、南米の西海岸のチリに生育するサボテンで、乾燥した海沿いの低地に生えています。
種小名の𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂は、チリの海岸沿いの地名Esmeraldaが由来です。
自生地は、石英砂が混ざる花崗岩の砂礫からなる平地、ないしは緩やかな斜面で、球体が地面の砂利の中に完全に埋まった状態で生えていることが多く、花や果実が付いていないと見つけることが難しいと言われています。
本種の種を輸入してまいて、開花までにおよそ4、5年かかりましたが、写真のように球体に見合わない大きな花 (花自体は直径3、4 cm)を咲かせてくれて、開花した姿を見た時は感無量でした。
開花までに4、5年もかかったのは、自分の技量不足もありますが、本種の成長が遅いこともあります。
また、成長するのが割と涼しい季節 (寒すぎても成長は鈍い)で、夜の気温が高い季節はあまり成長せず、成長期の見極めが難しいことも要因の一つと思います。
本種の花は薄い黄色からピンク色がかった花色が多いようですが、このように緑色がかった花もあるようです。
花は外周の花びらほど色が濃く、中心部はほぼ白色に近いため、花色のグラデーションがとてもキレイです。
系統によって花の色が異なるので、色々な系統を育てると面白いかもしれません。個人的には球体の色も微妙に異なるようにも見えます。
開花のために気を付けたこと
前回のブログでも書きましたが、本種は地下に球体よりも大きな塊根を発達させるために、高温多湿の日本での栽培は少し気を遣います。
夏に水やりをするのはよくないので、梅雨明け以降はほぼ断水状態で栽培しており、断水すると球体から水分がなくなって球体がしぼみ、地面に潜っていきます。この興味深い生態も、本種の魅力の一つです。
開花する前から、何月頃に開花するのか他の人の写真から予想していて、日本だとおよそ5、6月に開花すると見ていました。
結果から言うと開花時期は予想通りでした。
気にしていたのは、開花する前に水をあげないとつぼみが発達せず、花芽が形成されても途中で脱落してしまうことです。これは、他のサボテンの種類についてもいえることです。
要は、開花時期を把握していて、開花前から意識的に水をあげないと開花しないということです。
適当に水をあげても大丈夫な種類ならよいのですが、本種のように水をあげる時期を間違えると枯れてしまう種類にとっては、あらかじめ開花時期を把握しておくことは重要です。
5、6月というと、日本では梅雨に差し掛かる時期で気温と湿気が上がり始めるため、本種の水やりには少し気を遣い始める時期です。
腐るリスクを減らすなら、個人的には5、6月あたりから水やりを減らしていくのですが、今年は花が見たいがために、成長期後半であるにもかかわらず意識的に水やりを多くしていました。
その意識の効果があってか、予想した時期に無事に花を咲かせてくれました。
エリオシケの実生ができれば一人前
エリオシケの仲間は成長が遅い種類や、高温多湿の日本では育てるのに一癖ある種類が多く、この仲間を種子から開花まで育て上げることができれば一人前という話を聞いたことがあります。
育ててみた結果、難しすぎるということはないものの、確かにハードルは高いのでその通りと思います。
エリオシケに限ったことではないですが、種からサボテンを上手く育てるためには、
①事前情報をよく知っておく (どういう場所に生えているか等)
②自分が育てている植物そのものをよく観察すること (頻度や時間が多ければ多いほどよい)
が重要ではないかとも思います。
栽培者の栽培環境は十人十色ですので、特に②は重要ではないかと思います。
植物を見たり触ったり嗅いだりしていると、自ずと植物の気持ちがわかってくるような気がします。