𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 オトンナ・カカリオイデスを巡る、植物学の古きストーリー

𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (Bokkeveld Plateau, Gifberg)

　今回はキク科の多肉植物、𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 オトンナ・カカリオイデスにまつわる、植物学の歴史も関わる話を話題にします。

　𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔というと昔は市場でも珍しい種類でしたが、近年は種子や株が割と普通に流通するようになりました。

　茶色くて直径数 cmに収まるような塊茎から青白いしゃもじ型の多肉質な葉を密生させる小型の種類は、似ている種類が他にない印象があり、シンプルなように見えますが、𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の種記載の歴史やそれに関連するストーリーは中々に複雑です。

　今回の記事は植物学の話が大半になるので、人によっては難解で退屈な内容に映るかもしれませんが、多肉植物の種に秘められたストーリーとして読んでいただけると幸いです。

今回の記事の前提

　今回の記事では、学名よりも「誰がどこで採取したか」「どういう由来があるか」といった内容と密接に関係する話になるので、始めに対象となる主語について列挙します。

①リンネ (Linnaeus)が𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔を記載する際に基準標本に選定したツンベルグ (Thunberg)の標本 (=植物分類学における真の𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔)

②多肉植物の市場で𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔として流通する系統

③𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂 オトンナ・ミニマの基準標本

④𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊 オトンナ・ピランシーの基準標本

⑤𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂 オトンナ・ピグマエアの基準標本

⑥多肉植物の市場で、2022年から2023年にかけて𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂または𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒊𝒏𝒕𝒆𝒓𝒎𝒆𝒅𝒊𝒂として流通した系統

　上記の①～⑥は、この記事では異なる系統として話をします。学名は異なるけど、シノニム (異名同種)として扱われるものも含みますが、由来を考えると別物と思ってください。

𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の起源

我が家の𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔。前提で言うところの②に相当する系統。

　𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔は、今でこそよく流通していますが、コンプトンが𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂を記載した頃は、記載されて以来再発見されていないような状態でした。というのも、主な自生地に訪れる人が昔はほとんどいなかったからのようです。

　前提でも書いたとおり、𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔を記載したのはリンネで、記載論文を発表した年は1782年とかなり古いです。

　この記載は、ツンベルグが南アフリカで採取した塊茎2つの標本を基準標本として、数行のラテン語の記載文からなります。

　古い時代の種の記載文は比較的シンプルで、悪い意味では特徴の記載が不足していることも多いです (知りたい特徴の記載がない、等)。

　𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の記載文は、現在𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔として流通する個体 (=②)と概ね矛盾はしないのですが、1つだけ個人的に疑問に思う内容があります。下記の文章です。

　「..., pedunculis unifloris.」

(1782. Supplementum Plantarum Systematis Vegetabilium Editionis Decimae Tertiae, Generum Plantarum Editiones Sextae, et Specierum Plantarum Editionis Secundae, 388. より抜粋)

　これは花が花序に単生していることの意味かと解釈しています。この記載文の特徴は、現在の𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)がしばしば分岐する花序を着けることと矛盾するのではないかという疑問を持っています。

　ちなみに、ツンベルグの標本 (=①)では片方の塊根で花序が1本着いているのみです。但し、現在流通する𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)も小さな株では花序が分岐しないので、この点は注意が必要かと思います。

その後に発表された小型の𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂の近縁種

𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の花、小さな株では花序は単生。

　𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の記載後、複数の近縁種が記載されました。見た目や形質が似ているという観点からは、下記の種類が近縁種になります。

・𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂：カンドール (Candolle)によって1838年に記載 (=③)

・𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊：ハッチンソン (Hutchinson)によって1946年に記載 (=④)

・𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂：コンプトン (Compton)によって1953年に記載 (=⑤)

　現在、これらの種類の内、𝑶.  𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂と𝑶.  𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊を𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔のシノニム (異名同種)とする説が強く、標本を見る限りでは私もこの説はそうだと思います (少なくとも𝑶.  𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂と𝑶.  𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊は同種だと思う)。

　分類学では、シノニムと判断された場合には先に命名された方が正式な名前となるので、𝑶. 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂と𝑶. 𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊の標本 (=③と④)の学名には𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔が適用されることになります。

　また、記載文と標本を見る限り、𝑶. 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂と𝑶. 𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊は現状流通する𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)と同種であると考えます。

　ここまでは話が比較的単純なのですが、𝑶. 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂のことを考慮すると複雑になってきます。

コンプトン (Compton)が記載した𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂

𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)、シャモジのような形の青白い葉が特徴。

　ところで、2022年から2023年にかけて、日本で𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂の名前で株が市場に流通しました (=前提の⑥)。これらの株は由来等は不明 (おそらく現地で採取した野生株)で、𝑶. 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂の名前が付いた小さな𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂でした。

　𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒊𝒏𝒕𝒆𝒓𝒎𝒆𝒅𝒊𝒂の名前で流通している株もありましたが、これについては多くの場合間違っており、真の𝑶. 𝒊𝒏𝒕𝒆𝒓𝒎𝒆𝒅𝒊𝒂と思われる株はごく僅かでした。

　私は上記の系統を栽培していないので詳しいことは分かりませんが、⑥は𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂の一種であることに間違いはなく、一方で流通している𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)とは見た目が異なるものでした。

　この⑥の系統が𝑶. 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂なのかどうか、本当はどの種類なのかということが問題の焦点になります。

𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)、種子から育てて1年以内で花を着けることもしばしばある。

　そこで1953年の𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂のコンプトン (Compton)が書いた記載文を漁ってみると、𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔と𝑶. 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂についても併せて詳しく書いていました。

　コンプトンによれば、上記の3種類は互いに比較的近い地点に自生し (とは言え数十キロ離れていることはある)、生育環境も似ているようです。

　コンプトンはこの論文で、𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔と𝑶. 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂、𝑶. 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂の3種をそれぞれ独立種として扱い、𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊は𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔のシノニムであるとしています。

　重要なのは、𝑶. 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂は𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔とは異なる種類とされ、色々な差異が述べられており、大きな差として花序が𝑶. 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂では複数回分岐することでしょう。

　𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=①)の花序は前述の通り、分岐しないと解釈しています。

我が家の𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔。実生1年目が一番かわいく、育てがいがある。

　話が複雑になってきたのでまとめますと、私が確実だと思っているのは、

「リンネが記載した𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=①)とコンプトンが記載した𝑶. 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂 (=⑤)は別種である」ということと、

「現状流通している𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)は、カンドールが記載した𝑶. 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂 (=③)とハッチンソンが記載した𝑶. 𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊 (=④)と同種である」ということ

です。

　これらに加えて、懐疑的に思っている (確実にそうだとは言えないが、そうである可能性は十分にあると思っている)のは、

「リンネが記載した𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=①)と、現状流通する𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔は別種である」ということです。

真の𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂  𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔とは？

我が家の𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂  𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の種子

　「リンネが記載した𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=①)と、現状流通する𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)は別種である」と思う根拠は、始めの方で述べた花序の違いと、リンネが記載に利用した基準標本 (=①)の根茎の形や大きさ、葉の形が、2022年から2023年にかけて日本で𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂の名前で流通した株 (=⑥)に似ているからです。

　⑥については、他の方が栽培されている株を見る限り、花序は分岐せず花が花序に単生していることが圧倒的に多いように見えます。

　ここまでくると、どれにどの学名を当てはめるのか分からなくなってきますが、分類学でのルールに則って先に名前を付けた方が正式な名前として扱われることを考慮すると、個人的には前提で示した分類群については下記のような名前の扱いが正しいのではないかと考えます。

①リンネ (Linnaeus)が𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔を記載する際に基準標本に選定したツンベルグ (Thunberg)の標本 (=植物分類学における真の𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔)

-> 𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔

②多肉植物の市場で𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔として流通する系統

-> ①とは別種であると仮定すると、𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂

-> ただ、場合によっては⑤と同種になる可能性はあるので、その場合は𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂となる。

③𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂 オトンナ・ミニマの基準標本

-> ①とは別種であると仮定すると、𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂

④𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒊𝒍𝒍𝒂𝒏𝒔𝒊𝒊 オトンナ・ピランシーの基準標本

-> ③と同種であると判断するので、𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒎𝒊𝒏𝒊𝒎𝒂

⑤𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂 オトンナ・ピグマエアの基準標本

-> ①、③、④とは別種であると仮定すると、𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂 

⑥多肉植物の市場で、2022年から2023年にかけて𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂または𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒊𝒏𝒕𝒆𝒓𝒎𝒆𝒅𝒊𝒂として流通した系統

-> 少なくとも②、③、④とは別種と判断する。個人的には、⑤より①の方と同種に見えるので、𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔

　一方で、上記の問題を判断するにあたっては、ツンベルグの𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の標本を調べ、これが本当に流通する𝑶. 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔 (=②)と別種であるかどうかについて議論する必要はあると考えます。

最後に

我が家の君の名は？

　本記事の内容は、2022年に𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂の名前の株が流通した時に、文献と標本を片っ端から調べてたどり着いた結論です。

　ただ、推論の域を出ない部分 (ちゃんと標本を調べないとわからない部分)もあり、心の中にとどめていました。

　ですので、この記事で述べたことは、正しいかもしれないし、正しくないかもしれない、そんな気持ちで理解していただけると幸いです。

　あわよくば、この記事を踏み台にスウェーデンのハ―バリウムに𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の標本を調べに行っちゃう人がいないかな、なんて思いながら。。。

　𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒑𝒚𝒈𝒎𝒂𝒆𝒂の名前の株も、もっとちゃんと採取地情報等がついていれば深い事実が分かっただろうにと思うのが少し残念です。

　最後に、コンプトンが南アフリカで見出した楽園、後世の人が呼ぶ"Compton's Corner"に住む小さな多肉植物たちの内の1種、𝑶𝒕𝒉𝒐𝒏𝒏𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒂𝒍𝒊𝒐𝒊𝒅𝒆𝒔の実態が明らかになる日が来ることを願って。