tawashiatsume

植物、主にサボテン・多肉植物。時々登山、時々お酒。

混同されているガガイモ達、𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属

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𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊、とても珍奇な見た目のガガイモの一種

 更新をサボっていたので、久々のブログ書きです。何を書こうかと、前から思ってはいたのですが、ネタが見当たりませんでした。

 

  ふと、ネットで𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 (ラリレアキア)属というガガイモのグループの種類が、間違ったラベルで販売されていたので、今回はこれについて書きます。

見た目が似通った𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属の種類

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𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊、𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属の種類はみな、およそこんな見た目

  ある日ネットを見ていると、𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒕𝒊𝒇𝒐𝒓𝒎𝒊𝒔という名前で𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属の種類が売っていました。
  幸運にも花が咲いていて、花を観察すると全く別の種類であることがわかりました。

  𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属は、どの種も沢山のイボを持つ楕円球状から円柱状になる茎を持ちます。
  その珍奇な見た目に惹かれて育ててる方も多いのではないでしょうか。

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𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊

  花は、星のような五角形の小さな花をつけます。
  𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属は花が咲かないと種類の判別が難しく、種類によっては花も一見、かなり似ています。

  私もいくつか𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属の種類を栽培していますが、どれも𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒕𝒊𝒇𝒐𝒓𝒎𝒊𝒔の名前で購入しました。

 しかし、咲いた花を調べてみると別種であることが多いです。交雑種もあるのではないかと推測します。

 割とよく見かける𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊

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𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊

 𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒕𝒊𝒇𝒐𝒓𝒎𝒊𝒔は、南アフリカの北西部の標高が高い限られた場所にしか自生していないのですが、日本では𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属と言えば𝒄𝒂𝒄𝒕𝒊𝒇𝒐𝒓𝒎𝒊𝒔種しかないと思われているのか、大多数がこの名前で売られています。

 今回紹介する種類も𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒕𝒊𝒇𝒐𝒓𝒎𝒊𝒔で買いましたが、花を調べると𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊でした。𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊種の方が自生地の分布が広いので本種だったこともうなづけます。

 また、色々見ていると市場には𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊 (またはこの交雑種とも推定される株)が結構出回っていることに気が付きました。しかし、この名前で売られていることはまずないので、気が付く人は少ないようです。

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𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊、花の構造が浅い皿のような点が特徴。

 𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊の花の特徴は、花冠 (花びらのように見える部分)の構造が浅い皿のようになっていることです。

 対して、𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒕𝒊𝒇𝒐𝒓𝒎𝒊𝒔の花冠はお椀のような深い半球状になります。写真での比較ができないのですが、上記の写真では𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊種の花冠が皿のような構造をしているのがわかるかと思います。

 𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂属の種類は、𝒄𝒂𝒄𝒕𝒊𝒇𝒐𝒓𝒎𝒊𝒔種以外にも市場に出回らないだけで様々あります。𝑳. 𝒇𝒆𝒍𝒊𝒏𝒂、𝑳. 𝒔𝒊𝒎𝒊𝒍𝒊𝒔、𝑳. 𝒑𝒊𝒄𝒕𝒂、𝑳. 𝒑𝒆𝒓𝒍𝒂𝒕𝒂、𝑳. 𝒎𝒂𝒓𝒍𝒐𝒕𝒉𝒊𝒊、𝑳. 𝒅𝒊𝒏𝒕𝒆𝒓𝒊、そしてナミビアの珍種𝑳. 𝒕𝒊𝒓𝒂𝒔𝒎𝒐𝒏𝒕𝒂𝒏𝒂。

 海外の専門書を読めばこれらの種類についても載っていますので、個人的には株を買うのと同じくらい専門書を買うのも、強い興味とモチベーションを与えてくれると感じます (専門書は高いですけどね、、、)。また、𝑳𝒂𝒓𝒓𝒚𝒍𝒆𝒂𝒄𝒉𝒊𝒂 𝒄𝒂𝒄𝒕𝒊𝒇𝒐𝒓𝒎𝒊𝒔しか出回っていない (ように見える)現状は、植物をよく観察して何か不思議に思ったり疑問に思うことが少ないか、そう思っても調べる人が少ない (調べる方法がわからない)のが原因ではないかとふと思いました。

 もう少し正確な名前で流通するとよいなと期待しつつ、今回の記事はこれでおしまいです。