tawashiatsume

植物、主にサボテン・多肉植物。時々登山、時々お酒。

黒いボディに小さなイボを持つサボテン、エリオシケ・エスメラルダナ

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𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 BCHK 1383

 本日のサボテンは、世界でもっとも降水量が少ないとされる南米チリのアタカマ砂漠に生える種類です。

 名前を𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 エリオシケ・エスメラルダナという、大きくても直径が4 cmほどまでにしかならない小型のサボテンです。

黒い色の珍奇なサボテン

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𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 BCHK 1383、種から2年程。やっと直径2 cmほどに。

 黒いボディに小さいイボ、トゲは5 mm以下とほとんど発達しないその姿は一般的なサボテンのイメージとは異なっていて、見る人の心を奪います。

 球体は直径4 cmまでですが、花は直径2, 3 cmと球体の大きさの割に見事な花を咲かせます。色は個体差がありますが、白色~クリーム色で時にピンク色を帯びることもあります。

 南米のサボテンは表現しにくい独特の色合いの花を咲かせることが多く、このサボテンもいい例です。

 一応、日本の園芸名も付いていて、黒羅漢と呼ばれることもあります。

 黒い色の球体の多数の小さなイボが、仏教の聖者の頭髪を彷彿とさせるためにつけられた名前でしょうか?

自生地では地中に埋まっているサボテン

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𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 BCHK 1383、種から1年程。

 このサボテンは、小さい球体の何倍もあるような太いニンジンのような根を持ちます。

 この太い根に水や養分を蓄えることで、雨がほとんど降らない砂漠でも生きています。乾燥や高温にさらされると、球体が水分を失い完全に地面の下に引っ込んでしまうこともあるようです。

 写真個体は、BCHK 1383という採取ナンバーがついていますが、この番号によるとチリのアタカマ州のラス・ロザス谷ないしはグアニロス谷 (Quebrada Las Lozas o Guanillos)の標高211 mで採取されたとのことです。

 この自生地は、海からほど近いものの非常に乾燥していてサボテンや一部の多肉植物や球根植物以外には何も生えない砂漠です。

 アタカマ砂漠は沖の大西洋を寒流が流れるために、気温が高くなりにくく雨雲が発達しにくいようです。そのために雨は降りませんが、夕方から夜にかけて濃い霧が発生して沿岸部の一定の標高の場所は霧に包まれます。

意外と栽培は難しい

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𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 BCHK 1383、種から半年ほど。

 寒流のためにそれほど高温にならない砂漠に生えるため、日本の夏のような気温が35℃を超えて湿度も高い環境は苦手なようです。

 夏はほとんど成長せず、無理に水を与えても地下の太い根が腐ってしまうので、夏はほぼ断水し球体がぺしゃんこの姿で休眠してもらっています。

 ではいつ成長しているのかというと、我が家では冬から春にかけての、昼間はやや強い日差しで高温になり、夜は15℃かそれ以下に冷え込む時期に一番よく成長します。

 一般的なサボテンは春から秋が成長期なので、成長期がだいぶずれています。

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𝑬𝒓𝒊𝒐𝒔𝒚𝒄𝒆 𝒆𝒔𝒎𝒆𝒓𝒂𝒍𝒅𝒂𝒏𝒂 BCHK 1383、種から1年程。これくらいの大きさになれば順調に大きくなる。

 ビザールな見た目からすると人気はあるはずなのですが、日本では専門店でも中々見かけないのはこの育てにくさに原因の一部があるように思われます。

 日本では苗はおろか種子すらも売っていないので、仕方なく輸入種子を手に入れ時間かけて育てました。

 2年程育てると直径2 cmを越え始め、うまくいけば今年中か来年には開花をおがめそうです。

栽培について

 本種は暑すぎず寒すぎないアタカマ砂漠に生えるため、冬は室内に取り込み、冬以外は外の通風のよい日当たり (夏はやや日陰のところ)で管理しています。

 高温高湿度の夏と冬の天気が悪く寒い時期は水やりをほぼしませんが、他の時期は成長しているか様子を見つつ月に2~4回ほど水やりをしています。成長しない時期に水を与えすぎると腐りやすいです。但し、球体が5 mm以下の小苗の時期は通年よく水やりをしていました (夏や冬でも週1回程度は)。

 この種は地下の根が発達するにつれて水やりの回数を少なくしていくとよいです。水やりをしないと球体がしぼむので、成長期では球体がしぼんだら水を与えるようにしています。水を与えると球体が膨らみます。

 前述の通り、一番成長するのが冬の後半から春にかけて (1~5月 or 6月)なので、その時期の天気の良い日は昼間は30~35℃、夜は12~17℃になるよう場所を選んで育てるとよく育ちました。この成長期では、湿度を低くするか (50%以下だと腐りにくいです)、通気があると調子がよいです (試していませんが、通風のない高温下の蒸れには弱いと思います)。

 秋も成長していると思いますが、残暑などがあるとその時に腐りやすいので水やりを控えてあまり成長させていません。また、秋の成長期から冬の休眠期にかけて移り変わりの見極めを誤って水をやると腐ってしまうこともありました。

 また、ある程度の強さの日差しは直射日光でも日焼けしませんが、夏の日差し (7~9月)は強すぎるようで日焼けすることがありました。その時期は遮光するか、直射日光があたらない場所で管理するのがベターでしょう。

種の特徴

 (後日記述)