爬虫類のようなイボイボ肌の葉?チタノプシス・カルカレア
南アフリカからナミビアにかけての乾燥地に生える多肉植物の仲間、𝑻𝒊𝒕𝒂𝒏𝒐𝒑𝒔𝒊𝒔属 (チタノプシス属)の種類。この仲間の種類はみな、葉にイボを持ち独特な姿をしています。
一見、生きている植物には思えない姿は、園芸の世界でも人気があります。
今回紹介する𝑻𝒊𝒕𝒂𝒏𝒐𝒑𝒔𝒊𝒔 𝒄𝒂𝒍𝒄𝒂𝒓𝒆𝒂 チタノプシス・カルカレアというこの種類は、 チタノプシス属の中でも一番よく出回っている種類です。
「天女」という園芸名で出回っていることが多く、比較的栽培しやすい種類です。
葉には爬虫類の肌のようなイボが沢山ある
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チタノプシス・カルカレアは、葉の先端部に大小無数のイボを持ち、色も茶色~灰色~紫色と様々です。
このイボの見た目と色合いから爬虫類の肌を連想される方も少なくないです。
南アフリカの自生地では半ば地面に埋まるようにして生え、強い日光と土ぼこりによって葉の色は緑色の色合いがなく、周りの土や岩の色に近くなります。
黄土色の葉とイボイボで地面に擬態?
自生地の地面に生える土ぼこりにまみれた茶色の葉は、花でも咲いていないと発見することが難しいです。
土の色への同化と、イボが土や砂の粒に見えてくる効果も合わさると、より地面に擬態した姿になります。
自生地は降水量が少ない乾燥地ですが、爬虫類や哺乳類は生息しているようなので、それらの捕食者から身を守っているという説があります。
Oorlogshoek (ウールログスフック)という産地で採取されたこの系統は、葉の色が黄土色に色づきやすい系統で、土によっては地面によく擬態することができそうです。
上の写真はつぼみが頂点についていますが、つぼみにもイボがあります。
チタノプシス・カルカレアは、基本黄色のキクのような花が咲きます。系統によっては、サーモン色 (オレンジ色とピンク色の中間のような色)の花を咲かせたり、白花を咲かせる系統もあります。
コンクリートのような色になる系統
今度の写真は、SB 1111という採取ナンバーがついた系統です。
Magersfontein (マガースフォンテン)という産地で採取されたこの系統は、先ほどの黄土色の葉の系統とはやや見た目が異なります。
葉にイボがあるのは共通ですが、葉の先端部の色が灰色~紫色に色づきとてもキレイです。
海外の種子の販売元は、この系統の説明に「コンクリート色」と添えており、これらの写真を見ると納得がいきます。
コンクリートがある自生地に生えているわけではありませんが、何かしらこの葉の色と関係がある岩や土壌が自生地にあるのかな?、と想像しました。
調べたりして栽培品から自生地を想像するのも楽しみの一つです。
冬には葉が紅葉して紫色っぽくなる系統もある
上の写真は、コンクリート色の系統の個体を冬に写したものですが、寒さによってやや紫色を帯びた葉になっています。
このように、系統によっては気温が下がる冬に葉が紫色に染まりキレイです。前出の黄土色の系統は冬にはこのように紫色には染まりません。
また、冬に紫色になった葉は春になり気温が上がると元の色に戻ることが多いです。
栽培について
日本では秋から春にかけてよく成長する種類 (冬型の種類)として認識されていますが、自生地では春から秋に成長する (夏型の種類)ように思われます (月別の降水量より推測)。
これは、チタノプシス・カルカレアの自生地が南アフリカの内陸部に多いことと関係がありそうです。内陸部では昼間暑くなっても夜に冷えるのが普通です。試しにチタノプシス・カルカレアの産地の一つであるKimberlyという地域の気候を調べると、一番暑い月の平均最高気温は35℃を超えず、平均最低気温は18℃と出ました。
つまり、日本の夏は昼間も夜間も気温が高すぎで、また高湿度もあってほとんど成長できないのではないかと思われます。
これらのことを踏まえて、栽培する場所は秋から春は直射日光があたり風通しのよい場所とし、夏のみやや日陰の風通しのよい場所にしています。
水やりは夏と冬は月2~3回ほど軽く与える程度、春と秋は週1~2回程度たっぷり与えています。種から育てて1年程の個体はこれより水やりを多めにして育てました。
冬は氷点下にならない限りはずと野外で栽培しています。
種の特徴
(後日記述)