2017年 日本アルプス縦走・5日目~北アルプスから下山し中央アルプス山麓へ~
5日目の8月13日、この日はオフ気味なので遅い時間まで寝ていました。山に登らない予定なので早起きする必要がないです。
といっても、奥穂高岳や北穂高岳に登り始める登山者の足音で5時半あたりに目を覚ましてしまいました。
朝から雲一つない快晴。昨日の悪天候はどこへ。よくも悪くも山の天気は変わりやすいですね。
天気がよいのに早く降りるのがもったいなく感じられたので、朝少し涸沢ヒュッテのテラスで周りの山々を眺めてボーっとしていました。
最高の景色の涸沢
快晴の中、小さいリュックを背負って続々と奥穂高岳や北穂高岳に登山者が登っていきました。
ああ、自分もこんな天気の良い日に登りたかった。
でも今日は北アルプスから下山する日なので、山を眺めて我慢することにしました。奥穂高岳に登り返して前穂高岳経由で上高地に下山してもよかったけど、それはそれでつらそう。
とりあえず、朝ごはんを作りテントを畳んで山を降りる準備をしました。
その後、涸沢ヒュッテのテラスで暖かい飲み物を飲みながらボーっと山を眺めるタイム。
山を見る以外に特に何もしないのですが、かなり幸せな時間です。
こうしてボーっとしていると、ずっとここにいたくなってしまう。
おおっといけない本来の目的を忘れるところでした。
離れるのは名残惜しいけれど、「また来ます」、そんな気持ちで涸沢を出発しました。
上高地へ下山!
午前7時前、涸沢を出発して温泉とレストランがある上高地を目指して下山を開始しました。
今日は山道を歩くのは上高地まで、しかもずっと下りか平坦な道なので気が楽です。
涸沢から沢沿いに岩混じりの樹林帯を下っていきます。
途中、屏風岩という高さ数百メートルにもなる大岩壁が見え、目を楽しませてくれます。ここでクライミングをしたら楽しいだろうな。
一回吊り橋で沢を向こう側に渡り、下りの道が段々緩やかになっていき平坦な道になると、槍ヶ岳方面からの道が合わさる横尾山荘が近いです。
午前8時半頃、横尾山荘に到着。
ここから上高地へは距離は長いものの、車が通れるほぼ平坦な砂利道を歩くだけなので、実質、山登りは終わりのようなもの。
少し休憩して、次の徳沢へ。
......
深い樹林帯の中の砂利道を40分ほど歩くと (コースタイムは1時間ほどです)、開けた場所が見えてきて徳澤園の建物が見えてきました。
赤い屋根の洋風ロッジの建物が徳澤園です。
宿泊もできますし、軽食もできます。
ここを通ると、別に休みたくなくても必ずソフトクリームを買って少し休憩してしまいます笑
勿論、この日もソフトクリーム休憩。
徳澤園の前の広場はキャンプ場になってます。
先ほどの横尾山荘もキャンプ場はありますが、徳澤園のキャンプ場は昔牧場だったらしく、広々とした芝生で気持ちがいい!
穂高岳に登る途中でここにテントを張るのもよし、そうでなくて単にキャンプ目的でここに来てテントを張るのもよしです。
ソフトクリームを食べ終わったら、ここから一気に上高地まで歩いてしまいます。コースタイムは2時間ですが、平坦な道なのでつらくはありません。
上高地に到着!
柔らかな木漏れ日がさす樹林帯の道をひたすら歩いて、途中の明神館という山小屋を過ぎてさらに歩き、キャンプ場が見えてくると、もうそこは上高地です。
午前11時頃上高地へ下山しました。
真っ先に向かったのは温泉。4日ぶりです。日帰り温泉は色々ありますが、手軽な小梨の湯に入りました。
温泉の後は、向かいの小梨食堂でお昼ご飯。4日ぶりの下界のご飯なのでたらふく食べました。
温泉で気持ちよくなり腹も満たされ、ホワホワな気分になりました。
意外な方との出会い
お昼過ぎまでもう少し上高地で休もうと思い、ビジターセンターの前のベンチで束の間休憩していました。
すると、年配の老夫婦に声をかけられました。「どこか登られるんですか?」とかそんな感じだったと思います。
老夫婦の方も軽装でどこかトレッキングに行く様子でした。
もう山から下りてきたこと、でもこれから中央アルプスや南アルプスへ向けて歩くので少し休憩している旨を伝えると、何とその方は25年ほど前に所謂トレイルランスタイルの軽量装備で高い山を高速で縦走することを始めた方々の1人でした。
自分がまさにその時試しているようなスタイルの創始者の方と偶然会えたことに感激しましたが、向こうもそのスタイルを受け継いで日本アルプス縦走のようなハードな登山にチャレンジしていることに驚いていました。
南アルプスの聖小屋に知り合いの方が務めているようで、そこも今回の旅で通過する予定だと話したら、山小屋でビーフシチューをおごってもらえるようサインをしてくれました。
色々山の話をした後、老夫婦は徳澤園まで行くとのことで写真を撮影してお別れしました。とても奇遇で素敵な出会いでした。
昔、軽装で登山をしたら山小屋の管理人に怒られたなどの話や、どうやって食料を確保しつつ切り詰めるかなどの話が面白かったです。
上高地を出発、北アルプスとお別れ
普段は上高地でゆっくりすることがなかったので、この時は少しお店などをブラブラしたりして楽しみました。
夏のお盆の日程だったので、観光客と旅行客でどこも賑わっていました。
マイカーで来れないとは言え、このような壮大な山の景色やエメラルドグリーンに輝いて透き通る川の流れをバスで来て楽しめるのですから、人気な理由がよくわかります。
お昼休みも束の間、13時頃に上高地バスターミナルを出発しました。
皆、乗り合いタクシーかバスで帰るので、道路を歩いている人はいません。
夏日の暑い時間帯でしたが、上高地付近は標高が高く、道路は樹林帯の中なので、涼しく快適な林道歩きです。
爽やかな空気を吸いながら、木漏れ日が差す森の中の道路をテクテクと歩いて行きました。
大木が林立する道路を歩き、帝国ホテルと大正池ホテルを過ぎて大正池に差し掛かると、道路から北アルプスの穂高連峰が見える場所があります。
この日は夏日の午後でしたので既に穂高の峰は厚い雲に包まれていましたが、北アルプスを離れるのでしばし見とれていました。
夏のまぶしい日差しの元に広がる青い空と、モクモクと浮かぶ白い雲。
山々には緑が茂り、白い雪のコントラストが映え、晴天の夏山を離れることに一種のノスタルジーのような気持ちを感じました。
上高地から沢渡温泉を目指す
上高地からマイカー規制のある中の湯までは、ほとんどトンネルの中を通って下っていきます。
上高地トンネル、そして長い釜トンネルなど。
外も涼しいですが、トンネルの中はさらに涼しくひんやりしていました。
ここのトンネルは比較的新しいので、人が歩くスペースがしっかりあるので歩きやすいです。冬季に上高地に入るには、ほぼ皆ここを歩くから整備されているのでしょう。
中の湯を過ぎ、クネクネ蛇行する狭い梓川の渓谷を突き貫けるように通る道路をひたすら歩きます。トンネルが多い区間です。
トンネルの外では、道路わきの梓川の渓谷が美しかったです。
この梓川の渓谷は岩などで切り立っていたり、温泉が湧いたり崩壊地になっていたりするので、川沿いに道を作るのが困難そうな区間でした。
上高地から歩くこと約2時間、「さわんど温泉」の看板が見え、沢渡地区に入ってきました。標高もだいぶ下がってきました。
沢渡は上高地に行く人で途中までマイカーで行く人がよく駐車をする場所です。また、温泉宿が多いです。
沢渡温泉で2回目の温泉と休憩
沢渡温泉でいつもよる池尻という温泉に差し掛かり、温泉に入りたくなったのでここでまたしばし休憩することにしました。
ここは日帰り入浴可能で、やや熱い温泉が特徴です。
温泉に入って涼み、少し早い夕食をここで食べました。
ここで休憩をとったもう1つの理由は、車の通りが少なくなる夕方から歩き始めようと思ったからです。沢渡から奈川渡ダムまではトンネルの歩行スペースが狭く、車の通りが多いと大変です。
奈川渡ダムから奈川温泉、そして境峠へ
約1時間半ほど休憩して17時頃、沢渡温泉を出発。
車は一応少なくなったものの、トンネルの通過が大変な区間です。
古いトンネルで内部の灯りはほとんどなく、歩行スペースは狭いです。おまけに土などの汚れがひどく、場所によっては水たまりが非常に多いです。
ヘッドランプとザックに反射板をつけて、このトンネル地帯を何とか乗り切りました。
18時半ごろ奈川渡ダムに到着。
ここから大半の車は松本方面に向かい、僕がこれから向かう境峠方面はあまり車が通らないので道路歩きが楽です。
そろそろ日が暮れるのでヘッドランプを常備、境峠方面までできる限り進んで、野宿ができそうなところでしばし休むことにしました。
山間で民家や街灯がまばらな中、ただひたすら暗い道路を歩き続けました。
夜間の歩行は汗をあまりかかないので、昼間の暑い時間帯に歩くよりもエネルギーの消耗を防げます。
夜間で真っ暗だったため写真を撮っていませんが、奈川温泉を過ぎ、木曽地方へ抜ける峠である境峠に22時頃到着しました。
この日は境峠付近で野宿し、翌日の午前4時くらいまで休みました。
境峠の付近は民宿かスキー場くらいしかなく、街灯は皆無で鬱蒼とした森の中ですぐに眠りにつきました。
5日目は涸沢から上高地へ下山、境峠まで進めた
この日は上高地へ下山して北アルプスを離れ、上高地から中央アルプス山麓への70 kmの舗装道路歩きの中間地点の境峠まで進むことができました。
6日目は残りの舗装道路歩きをして中央アルプス山麓まで行き、中央アルプス最高峰の木曽駒ヶ岳まで登る行程です。
いよいよ中央アルプスへ!
(2017年 日本アルプス縦走・6日目へ続く)