葉の模様が不思議な多肉植物、𝑫𝒊𝒑𝒍𝒐𝒔𝒐𝒎𝒂 ディプロソマ
初春になったのか、気温が上がる日が増え、暖かい日はポツポツと花を咲かせる植物が出てきました。
今回は、多肉植物の𝑫𝒊𝒑𝒍𝒐𝒔𝒐𝒎𝒂 𝒍𝒖𝒄𝒌𝒉𝒐𝒇𝒇𝒊𝒊 ディプロソマ・ルックホッフィが開花したので、この種類について書きます。
冬~初春に開花するごく小さな多肉植物
𝑫𝒊𝒑𝒍𝒐𝒔𝒐𝒎𝒂 𝒍𝒖𝒄𝒌𝒉𝒐𝒇𝒇𝒊𝒊 ディプロソマ・ルックホッフィという、僅か2、3 cmの多肉質の葉を持つ小さな植物です。
写真はアップなので一見大きく見えますが、鉢は直径4、5 cmと、とてもコンパクトです。
秋から春が成長期で、秋にプリプリした葉を出し、葉と同じくらい大きい花を咲かせます。花は、花弁の中心が無色、花弁の外側が薄いピンク~マゼンタに染まります。
夏の間は地上部は枯れ、小さな球根のような茎と根の塊を地中に作って夏を越します。
寿命が短い植物らしい
花は可愛らしくきれいですが、葉には独特の幾何学的な模様があり、葉だけでも飽きません。
花の外側には水滴のような透明な細胞 (または、物質)がついて、光をキラキラ反射させます。これもキレイですね。
この多肉植物、小さくても花が咲く半面、寿命が短く数年で枯れてしまうようです。普通の多肉植物は10年単位で生きますので、短命です。
数年で枯れてしまいますので、長く楽しむためには種子を採って定期的に世代を更新する必要があります。
種子で世代を更新しながら楽しむ植物
我が家でも上の写真のように受粉して、果実が膨らんできました。自家受粉しやすいという話も聞きますので、花が咲けば種子の採取は難しくないです。
我が家のこの個体もだいぶ大きくなり、次の秋には枯れてしまいそうなので、種子が採れてよかったです。
この種類は、種子が小さいメセンという多肉植物のグループの一種ですが、その中でもとりわけ種子が小さいです。
秋にホコリのような種を播いて、休眠する夏までにある程度の大きさに育てるのにはややコツが必要と思います (少なくとも、多肉植物の初めての種まきには向きません)。
しかし、種子自体は採取しやすいので、種子による更新でしか長くは維持できないことも相まって、逆に種まきを突き詰めて楽しむのに向いている種類ではないでしょうか?
実は、販売元の名前は違う種類だった、、、
この写真の株は、アメリカのMesa Gardenの商品番号1484.01の𝑫𝒊𝒑𝒍𝒐𝒔𝒐𝒎𝒂 𝒓𝒆𝒕𝒓𝒐𝒗𝒆𝒓𝒔𝒖𝒎という名前で売られている種子由来です。
この系統はBaboonskoikという産地で採取されたとも、商品販売のページにはあります。
しかし、花が咲いてみると、どうも𝑫. 𝒓𝒆𝒕𝒓𝒐𝒗𝒆𝒓𝒔𝒖𝒎ではなく、𝑫. 𝒍𝒖𝒄𝒌𝒉𝒐𝒇𝒇𝒊𝒊ではないかと思います。
𝑫. 𝒓𝒆𝒕𝒓𝒐𝒗𝒆𝒓𝒔𝒖𝒎は、花の外側に水滴様の透明な細胞が付着しないと思います (葉の形は環境で変わるので、当てになりません)。
また、産地名もBaboonskoikではなく、Bakoondkolkが正しいスペルかと思います。前者は検索でも地名のヒットなしですが、後者はこの種類の分布域にBakoondkolkという地名があります。
このような種名や地名のミスは、自生地での観察を考えるとよく起こることです。
多肉植物の葉は、形や葉が環境によって大きく変化し、とりわけ栽培時とはかなり異なります。自生地では、花が咲かないと、𝑫𝒊𝒑𝒍𝒐𝒔𝒐𝒎𝒂 𝒍𝒖𝒄𝒌𝒉𝒐𝒇𝒇𝒊𝒊と𝑫. 𝒓𝒆𝒕𝒓𝒐𝒗𝒆𝒓𝒔𝒖𝒎を区別するのが難しい場合もあるでしょう。
自生地で観察した植物は、フィールドノートに手書きで記入するので、記録時でのスペルミスもあります (字が汚いと読み違えもあります)。
また、自生地の地名を現地の人に発音してもらって採取者が文字に起こすこともあり、地名のスペルが人によって異なることもあります。
こういったことから、産地名がミススペルされた可能性もあるのではないかな、、、と推測します。
最後、長々と書いてしまいましたが、今回はこの1種類の紹介で終わりです。
いよいよ暖かくなって春がきそうです。様々な植物が咲く予定なので、楽しみです!