tawashiatsume

植物、主にサボテン・多肉植物。時々登山、時々お酒。

2019年 北アルプス縦走・1日目~岩だらけの五竜岳~

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五竜岳、下に見えるのは五竜山荘

 夏山を少し長めの日数かけて歩きたい!と思い、2019年9月に北アルプスの山々を縦走した、その時の記録を振り返って見ることにしました。

 本当は、以前みたいに富山県の海岸から登って、山脈の端から端まで歩きたかったのですが、日程の都合で結局、富山県五竜岳から長野県の槍ヶ岳まで縦走し上高地に下山しました。

 今思い出しても鮮明に頭に浮かぶ夏の青い空、遮る樹木がなく遠くまで見える北アルプスの標高3,000 mの山々、時折高山植物なども見ながら歩いた5日間が伝われば嬉しいです。

 アルプス平からスタート!!

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アルプス平、残念ながら濃霧の中、、、

 スタート地点は、長野県白馬村五竜岳登山口であるアルプス平という場所です。ゴンドラで標高1,500 mまで上がれます。

 ここは夏は白馬五竜高山植物園、冬は白馬五竜スキー場となっており、初夏に植栽されたヒマラヤの青いケシの花を見ることができます。

 アルプス平に着いたのはちょうどお昼頃、あいにくの天気で濃霧に包まれ、9月中旬ながらも気温は20℃ほどしかなかったと記憶しています。

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アルプス平から登り始める!天気がよいと眺めがよい場所です。

 アルプス平のお店でお昼ご飯を頂き、本日の幕営地である五竜山荘を目指しました。

 出発したのは12時半前。登山の出発時間としては遅く、天気も悪かったので、これから登る人は僕とカナダ人のおっちゃんの2人でした。

 このおっちゃんは同じバス停で降りて、「ここら辺全然わからないからゴンドラの方に連れて行ってほしい」と言われ、快く承諾して途中まで一緒に行動しました。

 話していると、どうも携帯電話を持っていないそう。英語しか話せないのに携帯電話すら持たず日本のこんなとこに来るのは中々すごい。彼曰く「どうにかなるよ」とのこと。

五竜山荘までの道、遠見尾根

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遠見尾根の登山道、歩きやすい低木帯

 標高1,500 mのアルプス平から標高2,400 mの五竜山荘までは、遠見尾根という尾根の登山道を歩き、アップダウンが少なく歩きやすい道が続きます。

 蛇紋岩地帯であることもあり標高の割には低木帯で高い木が少なく、天気がよいと所々遠くの山が見えて眺めが素晴らしいです。

 五竜山荘まで行く人は宿泊するのが普通ですが、遠見尾根の途中の山までなら日帰りで登ってこれます。

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遠見尾根の小遠見山付近、天気よいと眺めよいです。

 五竜山荘までの道を半分ほど進むと小遠見山という小さな山があります。草原と低木の場所で天気がよいと気持ちの良い場所です。

 日帰りで帰る人は多くがここまで来て、来た道を引き返します。カナダ人の彼もそうでした。

 「明日は松本の方に行くから今日は宿に戻るんだ」という彼と少し話をしました。昔、North Faceで働いていたそうで山登りが好きらしい。お互いのお気に入りのギアの話で盛り上がった後、「またどこかで」と言い、彼の姿は濃い霧の中へ消えていきました。

 遠見尾根後半を登って五竜山荘へ

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遠見尾根から望む五竜岳

 彼と別れてから1時間ほど歩くと、尾根の霧が晴れてきて目の前に大きな五竜岳が姿を現しました。

 雲一つない青空に映える日本百名山の山。彼もここまで来れればよい景色が見れたけれども、、、。

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遠見尾根の池

  遠見尾根は比較的なだらかな尾根で、草原、池、遠くにそびえる山々と、本当に良い場所です。

  遠見尾根は五竜山荘に付近がやや急坂であるものの、他はなだらかなので初めて北アルプス百名山に登るコースとしてもおススメです。

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標高2,000 m以下の場所は雲海の下で、遠くの高い山だけが見える

 遠見尾根から北アルプスの山脈に合流!

  遠見尾根を何時間か登ると、北アルプスの山脈の主脈に登りつきます (アルプス平から五竜山荘までの標準コースタイムは約6時間だったと思います、余裕を持って登りましょう)。

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五竜岳五竜山荘

  ここまでくれば五竜山荘はすぐそこです。標高は約2,400 m、高い木はほぼ生えず高山植物が生えています。

 五竜山荘で受付を済ませてテントを張り、まだ16時くらいだったので軽装で五竜岳まで往復することにしました。

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五竜岳に登る途中から白馬岳方面を振り返ると、五竜山荘と唐松岳が。

 五竜山荘から五竜岳までは前半は砂利の多いザレた道、後半は岩場や鎖場の道になります。それほど危なくはないのですが、後半は高いところに慣れていない人は怖いかもしれません。

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五竜岳への道の後半の岩場、見た目ほどは危なくないです。

 五竜岳山頂!!

 岩場の道を超えると五竜岳の黄色い山頂標識が見えました。標高2,814 m。日本百名山の一つ、五竜岳の山頂です。

 360度の展望で、北アルプスの他の百名山である白馬岳、鹿島槍ヶ岳劔岳などが雲海の上に見えました。

 遠見尾根や五竜山荘から眺めてもよし、登ってもよし、山頂からの展望もよしと、さすが日本百名山だと感激しました。

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五竜岳山頂の黄色い標識。雷が落ちた割れたのだとか。

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五竜岳山頂から白馬岳方面の眺め。

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五竜岳山頂から鹿島槍ヶ岳方面の眺め

 しばらく山頂からの眺めに見とれてぼーっとしていましたが、寒くて日が暮れそうだったので、そそくさと五竜山荘へと戻りました。

 実は、翌日またテントを担いで五竜岳に登ってそのまま南の鹿島槍ヶ岳へと縦走するので、夕方遅い時間にわざわざ五竜岳に登る必要もなかったのですが、天気が良い時に登りたかったこと、翌日は明け方ころ五竜岳を通過してしまうので眺めも見えないであろうこと、これから進むコースの下見 (真っ暗な時間に通過する可能性もあるので)も兼ねていました。

2日目はかなり辛そうだという気持ちをよそに、、、

 テントに戻ってからすぐに夕食を作りました。夕食はカレーか何かだったかな。

  五竜山荘からは日本海とわずかに富山平野の街のネオンサインが見えました。遠くにギラギラと光って見える賑やかな街、、、かなり山奥に来ているはずなのにそんな感覚さえしない気もしました。

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夕暮れの五竜山荘

 夜は、9月の北アルプス北部ゆえに5℃近くまで下がりました。

 翌日は、鹿島槍ヶ岳爺ヶ岳針ノ木岳と越えて針ノ木山荘まで行くことを目標にしていましたが、果たしてどうなるやら、、、。

 標準コースタイムは総計20時間近かったので、「歩けるかな?」という不安にも似た気持ちをそばに、少し夕焼けの景色を楽しんでからサッサと寝袋に潜りこみました。

(2019年 北アルプス縦走・2日目に続く)

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