tawashiatsume

植物、主にサボテン・多肉植物。時々登山、時々お酒。

2019年 北アルプス縦走・3日目~針ノ木小屋から烏帽子小屋へのマイナールート~

f:id:tawashiatsume:20200101204827j:plain

岩が目立つ烏帽子岳

tawashiatsume.hatenablog.com

 3日目は食料もあまり消費してないために荷物が重く、かつ長時間行動の一番ハードな日になると思われたので、とりあえず午前3時起き、4時出発としました。
 コースも稜線沿いに蓮華岳~七倉岳と縦走するととてもその日のうちに三俣蓮華小屋に到達できないと予想できたので、前半は針ノ木小屋から針ノ木谷に一度下る→再び船窪岳付近の稜線へ登りあがるショートカットコースを行くことにしました。

針ノ木小屋から針ノ木谷へ下降

 午前3時に起床し、いつものごとく朝ご飯を作ってかきこみテントを畳みました。

 そして午前4時、真っ暗な空にはキラキラ星が煌めき月明かりが差し込む中、3日目をスタートしました。

f:id:tawashiatsume:20200101205851j:plain

針ノ木谷の道。道しるべは少なく、マーキングが頼り。

 針ノ木谷の道は昔からある道ですが、あまり通行する人がおらず、スタート地点からボウボウのヤブで道が覆われていました。山登りに慣れていない人からすると本当に登山道なのか?と思う状態でした。

 熊が出そうな真夜中のヤブ道をヘッドライトと経験を頼りに1時間ほど下ると、涸れた沢を歩くようになり、空が徐々に明るくなってきました。道というより沢の中を歩くコースでした。

 暗い時間は迷いやすい箇所もあり遭難しそうでした。

f:id:tawashiatsume:20200101210251j:plain

針ノ木谷の道。道というより沢に沿って歩く。

 涸れた沢も下るにつれて水流が出てくるようになりました。

 ジャンプで水流を越えられる内は気楽に考えていましたが、段々川幅は広く、水流は大きくなりました。

針ノ木谷は沢登りコースだった

f:id:tawashiatsume:20200101210538j:plain

針ノ木谷の道。ロープが垂らされているが、靴を脱がないと渡れない。

 針ノ木谷は沢の左岸と右岸を何回か渡りますが、この渡る地点が靴を脱がないとまず渡れないようになってきました (脱がないとずぶぬれになる)。

 靴をあまり濡らしたくなかったので、初めの方は、脱いで→渡る→タオルで拭く→靴を履くことをやっていましたが、何回も渡らなければならなかったので、結局脱がずに渡っていました。

 悲しかったのは、脱がないでも渡っても登山道が荒れていたために通過に予定よりもかなり時間がかかってしまったことです。

f:id:tawashiatsume:20200101211106j:plain

f:id:tawashiatsume:20200101211136j:plain

沢の渡渉地点。浅いように見えるが膝下くらいまで浸かることも。

 計10回弱沢を渡り、針ノ木谷から船窪岳の稜線へ登り返す地点へ来ました。

 計測しても時間がかかりすぎていることは明らかだったので、この時点で「今日は三俣蓮華小屋は諦めて烏帽子小屋止まりかな」という気持ちでした。

 冷たい水で濡れた靴と靴下を乾かし、安易に針ノ木谷のコースを選んだことを悔やみました (後から調べるとやっぱり一般向けのコースではないそう)。

稜線へ登り返して船窪岳へ 

f:id:tawashiatsume:20200101211802j:plain

船窪岳への道

 船窪岳への道は急なものの、針ノ木谷の道よりはずっと歩きやすい道でした。

 上へ上へと登っていくと針葉樹林が開けてきて尾根の合流地点に到着しました。

f:id:tawashiatsume:20200101212012j:plain

不動谷側は崩壊している

 尾根に合流した時に印象的だったのは、登ってきたのと反対側の谷 (不動谷)は砂や岩が露出していた崩壊地だったことです。
 数百 mは下にある谷の底の方まで見える、人によっては怖い景色でした。

f:id:tawashiatsume:20200101214337j:plain

高瀬ダム方面の景色。本当に天気が良かった。

 稜線に合流してからまた稜線沿いに登山道を進むコースを行きました。

 船窪岳までのコースは、2日目の後半のようにやたら上り下りを繰り返すコースでした。加えて、場所によっては崩れやすいところがありやや危険でした。

f:id:tawashiatsume:20200101214655j:plain

f:id:tawashiatsume:20200101214657j:plain

ハシゴの登り降りや崩れやすい場所が多かった。

 針ノ木小屋から烏帽子小屋へ縦走する稜線のコースはガイドブックにあまり載ることがなく、それはこういった登り下りが多くきついからと、崩壊箇所の通過がやや危険だからだと実感しました。

f:id:tawashiatsume:20200101215044j:plain

不動岳。白く見える部分は崩壊地。

 このコースは、遠くから見て白い部分は全てもろい砂質の崩壊地のようで、このような崩壊地の縁を通る時は滑り落ちないように注意が必要でした。悪天候の時にこういう崩壊地の下りはしたくないなぁと思いました。

f:id:tawashiatsume:20200101215046j:plain

崩壊地を通る箇所。急でロープを使っても滑りやすい。

f:id:tawashiatsume:20200101215502j:plain

船窪岳第二ピーク。この付近は登り下りが多くきつかった。

 2日目に通過した新越山荘から、針ノ木岳、船窪岳、不動岳と縦走して3日目の幕営地の烏帽子小屋までの稜線のコースは、一般登山道であるものの総じて上り下りと崩壊地が多く非常にきついコースでした。
 また、稜線には水場がほとんどないために水を多めに担いで縦走しないといけないこともハードルが高い要因です。

3日目は烏帽子小屋止まりに

f:id:tawashiatsume:20200101220035j:plain

登ってきた稜線を振り返るとドッシリした七倉岳が見えた。

 船窪岳まで登ってきて、明らかに時間が遅れていることと、まだハードなコースが続くためそこで時間の挽回をするのは難しそうなことから、3日目の幕営地を烏帽子小屋にすることに決めました。
 三俣蓮華小屋まで行けないのは苦しいですがどう考えても到着が夜になりそうでした。

 ここからは早く歩く必要がなく、のんびり歩いておやつ時に烏帽子小屋に着けばよいやとなって気持ちが楽になりました。

f:id:tawashiatsume:20200101215527j:plain

高山に生えるシダ植物のミヤマウラボシ。

直射日光が照りつける中、烏帽子小屋へ

f:id:tawashiatsume:20200101221202j:plain

不動岳付近から見る、針ノ木岳 (正面)。

 3日目はどの写真を見てもわかる通り、朝からずっと雲一つない天気でした。
 展望がよいコースだったのでありがたいことなのですが、日射を遮るものがなく登りが多いコースだったのでかなり汗をかき、2019年で一番ハードな時間でした(笑)

f:id:tawashiatsume:20200101221137j:plain

立山連峰と、下に黒部湖が見える。

 船窪岳からは、2日目のコースと似た感じで、不動岳に登る→大きく下る→再び南沢岳に登り返すというアップダウンの連続でした。

f:id:tawashiatsume:20200101221638j:plain

不動岳付近からわずかにゴールのとがった槍ヶ岳が見える (中央やや右)。

 南沢岳までは、崩壊地が多い白い砂の登山道をひたすら登り下りしただけなので、写真でお楽しみください(笑)

f:id:tawashiatsume:20200101221928j:plain

f:id:tawashiatsume:20200101221924j:plain

不動岳山頂、標高2,601 m。

f:id:tawashiatsume:20200101221959j:plain

崩壊地の通過ここで滑るとかなり下まで落ちそう。

f:id:tawashiatsume:20200101222050j:plain

崩壊地を通る登山道。すぐ左は谷の下まで落ち込んでいる。

f:id:tawashiatsume:20200101222126j:plain

崩壊地。左に見えるのは標高1,000 m以上下にある高瀬ダム

f:id:tawashiatsume:20200101222455j:plain

1、2日目に歩いてきた方向を振り返る。

f:id:tawashiatsume:20200101222544j:plain

f:id:tawashiatsume:20200101222627j:plain

南沢岳、標高2,625 m。マイナーだけど白砂がキレイでずっと居たいような場所だった。

 南沢岳を過ぎるとやっとアップダウンが終わり楽になりました。2日連続できついコースだったのでヘトヘト、フラフラになって歩いていたのを覚えています。

f:id:tawashiatsume:20200101222902j:plain

中央右のコブみたいなピークが烏帽子岳。アレの脇を越えれば烏帽子小屋までもうすぐ。

f:id:tawashiatsume:20200101222908j:plain

f:id:tawashiatsume:20200101222913j:plain

烏帽子岳の付近の烏帽子田圃と呼ばれる湿地帯。

f:id:tawashiatsume:20200101223322j:plain

烏帽子岳の脇を通り過ぎて振り返ると烏帽子岳がよく見えた。

 烏帽子岳の岩峰を振り返るようになると、烏帽子小屋まではもう10分ほど。烏帽子小屋から烏帽子岳に登る人よくすれ違いました。
 針ノ木峠から烏帽子岳までは人にほとんど会いませんでしたが、烏帽子小屋に近づくと急に人が増えました。高瀬ダムから半日で登れるので人気なコースなようです。

f:id:tawashiatsume:20200101222931j:plain

烏帽子小屋。昔の雰囲気のまま。

 烏帽子小屋には、実は15年前ほどに一回来たことがあるのですが、その時から外観はあまり変わっていないようでした。
 テント受付を済ませてすぐにテント場へ向かいました。テント場は多くの登山客で賑わっていました。裏銀座と呼ばれる北アルプスの人気コースのスタート地点の小屋なだけはあります。

f:id:tawashiatsume:20200101222947j:plain

翌日登る方向の山。裏銀座の入口、三ッ岳。

4日目は槍ヶ岳まで行きたい......!

 烏帽子小屋のテント場で遅めの昼飯を作りながら、4日目の行程を考えていました。
 烏帽子小屋から槍ヶ岳までは標準コースタイムだと約18時間ほど。3日目はややバテ気味でしたが、荷物が徐々に軽くなっていること (といっても初日から-1.5kgほど)を考慮して、槍ヶ岳まで行くことを目標にしました。

 3日目は烏帽子小屋に午後2時過ぎには着いたので、よく身体を休めることができたのもよかったです。

(2019年 北アルプス縦走・4日目に続く)

tawashiatsume.hatenablog.com