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植物、主にサボテン・多肉植物。時々登山、時々お酒。

モコモコでフワフワな植物。ペラルゴニウム・カロリヘンリキ

モコモコでフワフワな植物。ペラルゴニウム・カロリヘンリキ

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、初秋の姿

 今日はタイトルの通り、フワフワでモコモコな植物を紹介します。南アフリカ共和国の南西部に生える𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊 ペラルゴニウム・カロリヘンリキです。
 自生地はKnersvlakteという石英の小石が散らばった平原だそう。南アフリカだと英語が公用語だから、読みはクナースブラクトかな?「vlakte」は平原という意味なので、ふむふむKners平原に住んでいるんだな、と個人的に解釈しました。

毛だらけでモコモコしたキュートな葉っぱ

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、3株入りポット

 𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊は、白い毛が生え葉をレタスのようにロゼット状に密につけ、モコモコ・フワフワした印象を与えるかわいらしい種類です。また、地下にはカブのような肥大した根を持ちます。

 深く切れ込んで毛が生える葉も、カブのように肥大する根っこも興味深い特徴です。また、茎が立ち上がらずにコンパクトな姿も楽しめるために人気の種類です。市場には、稀に種子や株が出回りますが、非常に高価です。

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、初夏に咲く花

 紹介している株は数粒の種から育てたもので、種を播いて2年後に花を咲かせました。花は、植物が休眠に入るために葉を枯らす頃に咲きます。葉が枯れてしまった後に元気に花を咲かせるという、面白い生態です。

 𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊の自生地は、冬季に雨が降り夏季は乾季で雨が降りません。そのため、秋から春にかけて成長し、初夏に開花して夏は葉を枯らして休眠します。一番上の写真は秋に入った頃撮影したもので、これから冬を越して春まで成長し続け、葉をもっと出してもっともっとモコモコな姿になります。

成長段階によって変化する葉

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、左側は若い株の葉、右側は成熟した株の葉

 今回はモコモコの主要因である、毛が生えた葉にフォーカスを当ててみました。

 種から栽培していると栽培して1年目は親株とは似ても似つかない姿にだったので驚きました。種を買って育てているとたまにあることなのですが、買った種の名前と実際育った株が一致しないという、、、苦笑、そんな予感も頭をよぎりました。

若い株の葉

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、種を播いてごく初期の段階

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、若い株の葉の表面

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、若い株の葉の裏面

 種を播いて最初に出る子葉や1年目の若い葉は、切れ込みのないシャモジ形の葉で、毛も葉の縁や葉柄にわずかに生えるのみ。ほぼ無毛です。

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、成長途中の株の葉の表面

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、成長途中の株の葉の裏面

 成長するにつれ、葉の先端側に切れ込みが生じてきます。この段階になると葉の縁などに顕著に毛が生えてきます。特に、葉の裏面や葉柄には密に長い毛が生えてきますので、この段階までくると「買った種が𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊で間違いないかな」と思えるようになりました笑

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、成熟株の葉の表面

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、成熟株の葉の裏面

 さらに成長し花をつけるサイズの株になると、葉の切れ込みはより深くなり毛もより一層長くなります。葉の切れ込みが深くなるにつれ、葉が平面的ではなく立体的な構造になります。

 このような複雑な形の葉が密生するようになると、タイトルのようなモコモコ・フワフワした立派な成熟株になります。この段階まで育つと、地下では肥大した根が形成され、初夏に花が咲くのではないでしょうか。

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𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊、開花時の株元

 種から育ててみると、𝑷𝒆𝒍𝒂𝒓𝒈𝒐𝒏𝒊𝒖𝒎 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊のダイナミックな形態の変化を観察し、植物の形態形成の面白さの一端を垣間見ることができます。

 𝑷. 𝒄𝒂𝒓𝒐𝒍𝒊-𝒉𝒆𝒏𝒓𝒊𝒄𝒊は種子の構造も非常に面白いのですが、写真を撮り忘れてしまったため、また今度紹介します。種から育てて次の世代の種子を採るまで、常に飽きない植物ですね。

栽培について

 秋から春にかけて成長するため、秋になって気温が下がり始めた時から成熟株で水やりを週に1, 2回しています。若い株の場合、意外と水を好むようで頻繁に水やりをしていました。乾かし過ぎると葉がしおれ、成長途中の段階の株では成長が止まったりすることがありました。茎が立ち上がらない種類なので、水やりを多めにしても徒長しにくいです。

 初夏になって葉が枯れ始めた頃から水やりを徐々に減らしていき、葉が完全に枯れたら断水して秋まで水を一滴もあげずに管理しています。花が咲く場合は葉が枯れかかっていても少し水やりをしていました。

 置き場所は、秋から春は直射日光下の通風の良い場所、夏の休眠期は日陰の通風の良い場所で管理しています。

種の特徴

 切れ込んだ毛の生える葉が特徴的ですが、分類学的には花の特徴がより重要であると考えられます。がく弁や花弁の形状などが近縁種との差異として比較する意味がありますが、情報不足ですのでここでは割愛させていただきます。